2020年1月21日火曜日

画角(基礎編) 漫画家・アシスタントのための画角入門

「画角」って?

「画角」は、主にカメラなどで使われる言葉です。
背景を描くために必須の知識…ではありませんし、ちょっと難しいかもしれません。

ですが、理屈を理解できればパースの知識がより深くなります。
興味のある方はお読みいただければと思います。


人間の目はどれくらいの範囲が見えるか

画角の話の前に、まず人間の目で見える範囲の話から。
人間の視界(視野角)は、およそ横200度、縦125度(個人差あり)。
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「そんなに広いの?」と疑問に思う方には、簡単に確かめる方法があります。両耳を手で抑えて、少しずつ離して見て下さい。真横にある筈の手の小指辺りが、なんとなく見える筈です。


視野角全部を描こうとすると…

200度の範囲が見えるという事は、一つの道の両端(二つの消失点)が両方同時に見えるという事です。絵の中に無理矢理納めると、こんな感じ。
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これはいわゆる、「魚眼パース」の絵ですね。おそらく、ふだんこんな景色を見ているとは感じないでしょう。

その理由の一つとして、「人間の意識は視界の中心にある」ことが挙げられます。200度全部をはっきりとは見ていないのです。
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また実際には、中心以外の形や色は、実際には中心ほど鮮明に見えていません。そんな焦点の外側の、ぼんやりとみえている筈の荒い情報は脳が補完しているので、違和感を感じないのです。

この鮮明に見える部分、これが視野角の中で「人間が自然な形と感じる」範囲です



画角とは「画面がうつる範囲」の角度

視野角の話をふまえて、いよいよ画角の話です。
通常、写真を撮ると、現在見えている風景全ては写らないですよね。これは、人間が見える範囲(視野角)と、標準レンズの範囲(画角)に差があるためです。

下の図の、フレーム(レンズ)から覗いた緑の部分の角度、これが「画角」です
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大体40~45度(※1)が標準的な画角のレンズとされます。
人間の視野角とくらべるとだいぶ狭く感じますが、切り取られた風景の画角としては、これぐらいが自然に見える範囲なのです。
つまりこの標準レンズの画角は、そのまま「肉眼に近い絵の画角」の基準として考えて良いでしょう。
(※ただし、「透視法で描かれた漫画の背景」にの場合は、普通の背景でも45度よりかなり画角が広くなる/狭くなります。これについては、別の記事で説明します)



広角、望遠の画角

観察者からフレームを前後に動かす事で、画角が変化します
観察者に近づけると広角の画角(60度以上)になり、遠ざけると望遠(30度以下)になるのです。※2
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(上図で、画角が変化しても、フレームの大きさは変わらず、距離だけが変化する事に注目しましょう。この距離の違いが、レンズで言う「焦点距離」の違いです)


次は画角の応用編です。
(※1 レンズでは角度ではなく、焦点距離「24mm」「100mm」等の表記が一般的ですが、絵の画角の説明としては角度の方がわかりやすいので、角度で説明します。また、「標準レンズ」の規定は、メーカーなどによってまちまちです)
(※2 望遠、広角の定義も諸説ありますので、目安程度にお読みください)

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